「お隣の台湾にも追い越されている日本の研究アウトプット力 」鈴鹿医療科学大学学長・豊田長康氏インタビュー(3)

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豊田長康氏インタビューシリーズ3回目!
“日本は、まずは、世界19位の台湾に追いつくことを目指して、論文数を今の1.5倍にする必要があります。”論文数の増加が科研費増加に繋がる中、日本はどのようにそれを可能にしていくのか?

(※以下、敬称略)

【湯浅】  豊田先生はお隣の台湾と日本など、研究費の国際比較データを取り上げられてよく議論をされていますよね。今、日本の研究費総額は諸外国と比べて停滞しているんでしょうか?また、海外の国々では、特にアメリカなど国から出る研究費以外にも外部資金を利用する方法がさまざまあると聞きますが、日本では足りない研究費をまかなうためにそういった外部研究費を利用できる幅がどれぐらいあるんでしょうか?
【豊田】  自分の理解で計算すると、国民一人あたりの政府支出研究費は他の先進国に比べて現在半分以下になっていて、明らかに低いです。それから、被引用数トップ10%論文の数、これが1つの質×量の指標ですが、人口当たりで計算すると、日本は21番目。台湾は19番目です。
台湾と比べても、国民1人当たりの政府支出研究費は数年前に追い抜かれてしまったんですよ!そして、追い抜かれた時期と連動して、ちょうど国民1人当たりの論文数も追い抜かれているんです。
【湯浅】  台湾にも追い抜かれたのですか…。日本人としてはこれはかなり悔しい事実ですね。
【豊田】  台湾は、国民一人あたりの質の高い論文数を日本の1.5倍産生しています。シンガポールや欧米諸国は日本の2~5倍産生しており、日本にとっては夢のまた夢という状況です。日本は、まずは、世界19位の台湾に追いつくことを目指して、論文数を今の1.5倍にする必要があります。
台湾の国民一人あたりの政府支出研究費は日本のちょうど1.5倍で、論文数の差とぴったり一致します。したがって、日本が台湾に論文数で追いつくためには研究費総額も1.5倍にする必要があると考えます。もっとも、台湾は急速に論文数を増やしており、日本が1.5倍にした暁にはもっと上に行っていると思いますが…。
【湯浅】  すでにかなり差がついてしまっていますね。
【豊田】  日本の研究費の計算には注意が必要で、国際比較では国立大学への運営費交付金全額を研究費として計上していたのです。ところが、その中には教育費も含まれているはずであって、OECDはそれを差し引いたデータで国際比較をしています。概ね運営費交付金の半分ぐらいを研究費に案分しています。ところが運営費交付金の全額を研究費として算しても、すでに台湾はそれを追い抜いているわけね。
【湯浅】 そうなんですね。
【豊田】  研究費総額は論文数と非常にパラレルに動いている。あのデータを見ると、研究費総額を増やさないことにはいろいろな努力をしても、結局は外国に勝てないのではないかと直感できます。タブーとされている研究費総額をなんとかして増やすという議論をしないといけない。
【湯浅】 それで、その議論に帰ってくるわけですね。
【豊田】  教育費は授業料でまかない、運営費交付金は全額研究費。そういう切り分け方をせざるを得ないのではないか?現状では、運営費交付金が研究費・教育費ごっちゃになっているので分かりにくいのです。それを明確にして、広義の研究費の部分を守る。今の状況だと、運営費交付金の削減は研究費を減らしていることと同じことになっていますからね。
なぜなら、運営費交付金が削減され、教員数が減っても教育の負担は変わらないから先生方は研究時間を短くするのです。つまり、運営費交付金削減=広義の研究費削減ということになります。
運営費交付金を国立大学の研究費という名称に変えて、それを削減しないようにする。そして、教育費は授業料で賄う。
【湯浅】   なるほど。

 

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