原山議員へ一問一答 (3)業績に基づいた安定的な研究費支給!

学術業界で話題になっている問題について原山議員に聞きました。

業績に基づいた安定的な研究費支給!

質問

研究者の方々にお話を聞くと、たとえば10年前にとある研究者の論文がNatureやScienceに掲載されたとします。しかしその研究者は実はこの10年間研究をほとんどしていません。それにも関わらず、有名なジャーナルに登用されたという過去の業績があまりにも顕著なので、研究費が重点的に流れていきます。そういう科研費の配分イメージを持っていらっしゃる方が結構いらっしゃいます。

過去の業績というのも重要ですが、今の時点で実績をコツコツと出している人たちに、あるいはこれからもそういう活躍が期待できる人たちに安定的な研究費を分配するような仕組が欲しい、という風に仰ってる研究者の方が結構いらっしゃいますが、いかがでしょうか?

原山さんの回答

【過去の業績で評価するのは大切、だけど…】

結構難しいことで、「業績に基づく」というのは過去のことですよね? だから今おっしゃったように、一気に国際的なレピュテーションの高いジャーナルにバン! と載って、知名度があがったという人もいれば、逆にその一発勝負にかけて、シュリンクしてしまう人もいるかもしれない。また地道に研究をやってる人もいるわけです。なかなか成果がでない人もいるだろうし、何年も研究を温めることにより、インパクトのある成果につなげることができた人もいるわけです。つまりファンディングを決める際に知りたい「研究者のポテンシャル」とは、一言で業績と括ってしまうことが難しい要素なのです。ケースバイケースでいろんな見方があるので、気をつけて議論しなくてはいけない点だと思います。

口八丁の人がいる中で、言葉だけで決めてしまわないように注意することが肝心。この人にお金つけたら、最低限この辺までは決めてくれるだろうな、っていう安心感のために過去の業績に頼る傾向がある。ある程度の能力がないと、何かできないわけで、そういう意味で業績を見るということは、1つの重要な軸だけども、それだけを見てしまうと、片手落ちになってしまいます。

【可能性を秘めた研究がはじかれている可能性も!?】

もう1つはポテンシャルですよね。伸びしろっていうのかな。可能性に賭けなくてはいけない。業績と可能性が評価の割合として一対一かというと、必ずしもそうではなく、伸びしろをどうやって評価するか、というのはなかなか難しいと思います。

研究のプロポーザルを書くときに、こういうことをしたい、という濃い中身をすごくアピーリングに書ける人もいる。さっきも言ったように口八丁の人もいるかもしれない。その辺のところをどうやって空回りするアイデアを退けて、本当にチャレンジングな話をスクリーニングするのかというところは本当に難しい。それと同時にある程度地道に固めていく部分というのも抑えなくてはいけないし。

そのバランス感覚を持つということはとても難しいことだと思います。これまでの経歴を見て、誰のラボに所属していて、親分が誰か、というのはある程度安心感のために必要な軸でありますが、研究の中身をみて、ピアレビューするというのは、同じ分野の研究者たちの相場感に任せています。この研究は面白そうだけど難しい、これは確実に何とか行きそうだ、という相場感を持った人が審査しています。これがこれまでのやり方で、ある程度はさばけるけれども、どっかに見逃がしてるものがあるかもしれない。本当はすごく化ける可能性があるかもしれないけど、そのスクリーニングの中で弾かれちゃっているかもしれない。ここの部分はどうするか?

【バランスをどう考えていくか?】

あと、もう1つここで焦点となるのは研究費の安定性ですよね。それこそ10、20年前、我々が若かった頃の大先生の話聞くと、割りとあっけらかんとしていて、「まあお金(研究費)は来るだろう」という具合に、毎年何かプロポーザル書かなくても、自由に使うお金があったという時代もありました。

それに比べると、今は毎年何かしら書かないと当たり外れがあるし、自分でリスクマネジメントをしなければいけないです。これは日本だけではなく、アメリカなんてもっと大変な状況で、ヨーロッパだってそのような傾向があります。なかなかそういう安定性を担保できている国というのがほとんどないというのが現状のようです。アメリカにいる研究者に話を聞くと、日本の方が楽じゃないかという人もいるわけです。

最低限の安定性は必要で、あまりにもストレスが掛かりすぎると、発想がシュリンクしてしまうから元も子もなくなってしまう。しかし、あまりはじめから安定性があり過ぎると、挑戦する意欲が削れて逆に何もしなくなってしまうというのが人間です。それをどうするか?

そういう意味で、バランスをどう考えていくかっていうのがすごく難しいけれども肝心な点。これはすごく大きな課題で、どういうファンディングシステムが理想的かという議論につながるわけです。ある種のポートフォリオが必要で、教育を通して研究者の芽を出すという視点から言うと、浅く広く、というフェーズも大事だろうし、そればかりだと次のフェーズには行けないから、相手のチャレンジ精神を売り込みしてもらうフェーズも大事です。それは必ずしも安定的とは言えませんが。

【答えは1つだけではない! 色々なやり方を試してみるべし!】

その過程を何回か繰り返した時に、自分の力をある程度培ったところで、ちょっと別の視点に変えたい時が出てきます。その後また安定性が欲しくなるかもしれないけれど、そういうチャレンジできるシステムというのができれば理想的。

そういう色々なパーツがあるのだけど、それらの間で整合性がとれているかと言うと必ずしもそうではありません。つまり研究者に対して、若手からシニアまで、本当にキャリアのフェーズにあったファンディングができているかというとそうではないので、改善すべき余地は多分にある分野だと思います。すごく根が深くて大変重みのある投げかけだと思ってます。

これが正解という1つの解があるわけじゃなくて、ある程度やってみなくちゃわからないところもあるんで、既存のシステムが動いている中、それと同時に新しいやり方というものを少しずつ試してみて、うまくいけば広げるやり方もあります。課題が会った場合は、そこから学ぶ。試行して学習することが肝心だと思います。

アメリカのNFSの中だけを見ても、すごい競争率が高い。その中で、皆さん何度もアプライしながらやっていて、ある程度実績積んだ人にはお墨付きが出る。それで、10年間は継続的にファンドを提供します、という人を年に何人か出している。例えばそういう制度があってもいいわけですよ。

でもそこまで行くためには、まず作りこまなくてはいけなくて、それは別に年齢で判断するのではなくて、これまでの実績と構想力を見る形でもって、本当に自由度の高いお金を獲得することができようにする。それも一つのやり方です。

だから結局はやり方だと思います。同じお金をつけるにしても、なるべく自由度の高いものが求められます。でもそれで勝手に遊ばれては困るし、本当にコミットできるようなお金っていうのをつけたいわけで。だから解は一律ではないと思うし、ファンディングにも試行というアプローチが許容されるべきだと思います。

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