【吉澤剛氏にインタビュー】市民や企業をまきこんで、科学をもっとおもしろくさせよう!(5)アイデアを実現させよう! 図書館のサービス変革、学会ミシュラン作成、リサーチマップの一元化。

大阪大学大学院准教授の吉澤剛さんにインタビュー!

「政策のための科学」に関わり、政策デザインワークショップを主催する吉澤さん。テクノロジーアセスメント、知識政策がご専門で、大阪大学の「医の倫理と公共政策学」にて准教授をつとめられる傍ら、2007年よりNPO市民科学研究室の理事もされています。科学にもっと市民や企業が参加し、もっと面白くするための様々なアイディアや実践を語っていただきました。

BeFunky_IMG_2349.jpg吉澤剛/GO YOSHIZAWA
大阪大学大学院医学研究科 准教授

<プロフィール>
慶應義塾大学理工学部物理学科卒業後、東京大学大学院(科学史)修了。民間シンクタンクに2年半勤務した後、2002年よりイギリスサセックス大学にて科学技術政策を研究。2008年にPhDを取得し、東京大学公共政策大学院・科学技術と公共政策研究ユニット(SciTePP)に加わる。2011年より現職。専門はテクノロジーアセスメント、知識政策など。

第5回 アイデアを実現させよう! 図書館のサービス変革、学会ミシュラン作成、リサーチマップの一元化

湯浅 今回、第5期科学技術基本計画に関して、吉澤さんご自身が、今回はこれについては絶対に話し合って盛り込むべきだと思うテーマは何でしょうか?

吉澤 大学や学会を変えていくことですね。本当に実現できそうな点としては、大学や研究機関の図書館を変えていくこと。もっと広く見た場合ですと、科学技術政策における情報技術のあり方について、もう少し真剣に考えないといけないと思っています。たとえば、生命科学の分野で、しっかりと研究を進めるためには、情報技術は使わないといけません。あるいは、もう少しインフラとしての情報通信技術について変えていくなど。

先ほどのクラウドファンディングもそうですが、インターネットなり、ポータルを活用した研究基盤作りをするというときに、あまりにも今までの計画には、アイデアがなさ過ぎると思います。情報基盤整備を整える、あるいはその中の研究者データを整える、そこまでは言っても、実際にアクションを取らない。

このままだと、おそらく、大学の図書館はなくなる気がします。自宅で論文をダウンロードできますし、本は図書館に行かなくても、どこでも見られますし。やはり、現在の図書館のシステム自体がすごい旧来型だと思います。もう少し危機感持ってサービスをしていかなければいけないと思います。

大学間、図書館同士でもう少しネットワークを強くして、上手にリソースを融通し合ったりしたらいいと思います。イギリスで行われている例なのですが、研究者が普段、研究をするときにどういった情報が必要で、どういった情報の集め方をしているかというのを調べます。それこそ、ラボに入り込み、研究者の普段の生活をチェックしながら、その結果、必要な情報のあり方を考えて、それにふさわしいサービスを図書館が提供するという形するようなことが重要だと思います。おそらく、これからは何か調べたいものがあったら図書館へという時代ではなくなりますね。どのような情報が必要か、すぐに届けてあげる、必要なら加工もする、そういった広い意味の研究支援などをしていただくのがベストではないでしょうか。

湯浅 最近、オープンアクセスについての議論がありますが、まさに図書館のあり方というものが、OAや電子化になるにつれて、やはりそこは焦点となる部分ですよね。

吉澤 日本では、そもそも邦文の学会誌が全然データ化されておらず、ビブリオみたいなのも整っておりませんので、そこは変えていく必要があります。特に社会科学分野の日本の学会誌はあまりにもデータ化されておらず、驚きました。社会科学の研究を行っていると日本語が主流になってしまいますから。

湯浅 なるほど。研究者にとって図書館とはどういう位置づけなのでしょうか?

吉澤 静かに勉強する場所ですね。でも、それも学生までですよね。大学院生になったら、研究に忙しくて、行く暇もないので。

湯浅 なるほど。先ほどおっしゃっていたご提案の中に、具体的に情報技術や情報インフラってどのようなものでしょうか?

吉澤 研究者一覧ですね! ないですよね?

湯浅 ないですよね。確かに欲しいですよね。

吉澤 オランダはあるみたいですね。

湯浅 大学の研究者一覧ですか?

吉澤 大学のではなく、その分野の研究者一覧です。

湯浅 日本の?

吉澤 はい、日本の! 学会の会員名簿みたいのを見れば、まあまあは分かるんでしょうけど。そうではなくて、その人が科研費にどれくらい応募しているなど、それに応じて一覧を作ったりできますよね。例えば、この分野の研究者にアンケートを取りたいといった場合、そういった時に、もう大学に行ってもらうしかないですよね。大学にその担当部署に送ってもらう、あるいは、自分でネットで調べるしか方法はないので、これはあまりにも非効率。現状、色々な研究者情報を登録してくださいとくるのですが、登録する気になりませんね。他の研究者も同じだと思います。

湯浅 うん。まさにリサーチマップ(Researchmap)をもう少し…。

吉澤 そうです! リード・アンド・リサーチマップは今任意ですが、全員登録するようにすればいいですよね。

湯浅 なぜ任意なのでしょうか? 登録は任意ではないけど、科研費を応募する際、あなたの業績はリサーチマップのIDを入れてくださいという仕組みにしたら、かなり変わりますよね。

吉澤 そうですね。

湯浅 見る側も書いたもののURLをクリックするというのも変なので、科研費申請書自体をそもそも電子化したら、機能するのかもしれないですね。

吉澤 確かに。そこは必ずしも政府のシステムだけではなくて、大学側の事務の仕組や意識を変えていく必要がありますね。

湯浅 でも変えようと思えば変えられる所なんですよね。リサーチマップで本当に一元化したら、いろいろな面で効率的ですよね。新しいものを作るより、既存のものを有効活用していくことがいいですよね。

吉澤 そうですね。企業の方にとっては。そこの部分のビジネスチャンスの可能性はあると思います。

湯浅 研究者図鑑みたいなものを毎年、あるいは半年ごとに更新するという仕組みを、国が予算をかけてでもやる価値がありますね。すごく無駄な時間やお金が、検索とかに費やされていますから。これは我々もやってみたいなとは思いますね。ミシュラン名鑑のような、あのようなガイドを作成したら役に立つと思いますし。

吉澤 それ、是非実現して欲しいです。学会ミシュランなど。どの学会が優れているのかなどが良く分からないので。この学会はいい学会という評価ができるガイドがあるといいですね。

湯浅 そうですよね。たとえば、ある分野ではこの先生がすごい、この学会がすごいと、主観としてみなさんわかっていますが、それは外部の人には一切、理解できていないというところはありますよね。

吉澤 そうですね。そこは口にだしてはいけないという部分はありますよね。むしろ企業に容赦なく入って頂いて、別に自分たちが針のむしろじゃなくて、みなさんの主観を集めただけですというような言い方をして、この学会は星3つをつけるなど。

湯浅 是非作ってみたいですよね。研究者の方たちにも、宣伝になると思いますし。学会ミシュランは、スタートできますね。研究者一人ひとりは、そうとう骨が折れますが…。

吉澤 学会一覧自体は、政府が作ったのがあるのですが、それをもっと面白いものにする。星つけなくてもいいですが、学会の歩き方のようなものを。

湯浅 学会さんは私も何年間も営業してまわってるのですが、なかなか動いていただけませんでした。どこか1つが始まると、参加して頂けるとは思いますが。

吉澤 動いていただけない学会は、評価を落とす。「情報をくれませんでした」というように。

湯浅 なるほど。本日、吉澤さんのお話を聞いて、いろいろなアイデアがでてきました。本業とは関係ないのですが、でも、我々のような会社が責任を取るべき部分って出てくると思っています。将来、事業化できればいいなとは思っています。この対談で出てきたキーワード、架け橋、図鑑、評価、とても面白いですよね。吉澤さん、本日は、どうもありがとうございました!!

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最終回では、第5期科学技術基本計画で話し合って欲しいことについて吉澤さんにお聞きしました。今すぐ実現できそうなことの1つにあげられたのは、ずばり大学の図書館の変革。自宅から論文をダウンロードが可能なので、わざわざ図書館に行かなくなった吉澤さんにとっての図書館は、本を借りたり、文献を探すというよりも、静かに勉強したいときに限られているそうで、これからは研究者のニーズに合わせて、図書館のサービスも変えていく必要があるのではないかとお話されています。また、後半の対談では、研究者図鑑や学会ミシュランなどの作成をする、リサーチ・マップを使って研究者情報を一元化する、など様々なアイデアが生まれました。

吉澤さんありがとうございました!