【オピニオン】科学技術政策についての各党の見解まとめ。問題意識は共有しつつも、意見は大きく分かれる結果に。(小山田和仁/サイエンストークス委員)

参院選2016 に向けた科学技術政策についての政党アンケートの結果がまとまりました(まとめ記事はこちらから)。各政党からの回答について関心の高いトピックを、サイエンストークス委員がピックアップして解説・コメントします。

第3弾はサイエンストークス委員、小山田和仁氏から。

※本記事に記載された内容は、あくまで投稿者個人による意見であり、サイエンストークス一団体としての意見を反映しているものではありません。また、特定の党への加担、批判をするものではなく、あくまで科学技術政策の面からの回答への批評であることを事前にお断りしておきます。

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BeFunky_IMG_2100.jpg小山田 和仁氏(Kazuhito Oyamada

サイエンストークス発起人であり委員。サイエンストークスでは活動方針のまとめから運営、イベントの司会、進行まで幅広く務める。
科学技術政策研究者。

 

※コメントの内容はこちらの各政党からの回答まとめを参照しながらご覧ください。

ここでは個人的に関心が高い設問への回答について私見を述べる。

政府の研究開発投資の限界についての、各党の共通認識

政府研究開発投資(設問1)については、日本のこころと共産が「増額すべき」、自民、公明、民進は「妥当」、大阪維新が無回答という状況で、「減額すべき」というところはなかったが、では財源はというと具体的な記述に乏しく、具体的に答えている共産も含め選挙公約等で示している財源全般についての説明ぶりを越えるものではない。他の多くの課題・争点がある中で、科学技術だけを特別視して予算措置を講ずる状況にはないというのが各党の共通認識と思われる。

大学改革の必要性は共通認識、グローバル化には意見が別れた

大学のあり方についての設問5-1については、自民、大阪維新、日本のこころが、「将来的な統廃合も含めた改革をすべき」と答える一方で、公明、民進、共産は大学の自主的な改革・取組に重きをおいた回答となっている。「将来的な統廃合も含めた改革をすべき」と答えた党については、具体的な方策・理由については、自民が社会の要請への対応、大阪維新は教育無償化の前提としての大学間競争とそれによる効率化を重視しているのに対し、自主的取組重視の民進、公明、共産は、大学内部での議論や改革をまず積み重ねることを求めている。いずれにしても現状のままでよいという政党がなく、何らかの改革の必要性は各党とも認識しているということになる。

グローバル化への対応(設問5-2)については、予算措置だけでなく、グローバル化への対応の仕方について、各党で意見が異なった。自民や公明は、大学の自主的取組に加えて国の支援が必要との立場であるが、日本のこころや共産は、そのような国の支援の制度設計について、形式的な国際化を誘導しかねないという批判を寄せている。また、民進と大阪維新は、グローバル化への対応として研究・教育水準の向上を重視しているのが興味深い。

人文・社会科学分野のあり方、スタンスが各党で大きく異なった

また、人文・社会科学分野のあり方(設問5-3)については、自民は人文社会科学研究の価値を認めつつ、社会状況を踏まえれば必要な措置として賛成。公明は特に是非については触れず、大学の自己改革にゆだねるというスタンス。その他は、日本の心が概ね賛成としているが、具体的な問題意識は不明。共産は、大学改革そのものも含めて明確に反対。大阪維新が無回答だったのは意外。

与党の中でも意見の別れた安全保障・防衛関連研究問題

安全保障・防衛関連研究については、経済力や防衛力の基盤としての技術力の維持という立場で賛成の自民と、先の大戦後の経緯も考慮して大学の自主的な判断に任せるべきという公明というように、与党の中でも違いがある。その他、日本のこころは、「大学が防衛分野を排除しては先端開発では先頭に立てない」として賛成。大阪維新は「一概に否定されるべきではない。ただし、予算措置については費用対効果の厳しい精査が当然必要」という形で党の基本姿勢は外していない。民進と共産は、学問・学術研究の自由が奪われかねないとして反対となっている。

科学と国民の対話については各党大差ない結果となった

科学と国民との対話(設問7)については、複数選択可としたこともあり、各党の差が出にくく、結果の解釈が難しい。この設問は、「研究コミュニティに期待すること」などという形で聞いた方が、各党の研究コミュニティに対するスタンスの違いが出たかもしれない。

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